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2004.04.29

社会科講師のマニフェスト

 タレント上がりの国会議員が、イラクに行って人質事件の被害者になった人々を反日分子扱い。この国はどういうことになっていくんだろうね。
 奴らの言う愛国心なんて糞くらえだが、俺自身はこの国を愛しているよ。

 この国のどこが好きかっていわれると困るが、とりあえずこの国の憲法が誇りだと言おう。GHQの押し付けだという意見もあるけど、かつて法学部を志し法律を学んだのも、元はといえば、この日本国憲法を系統的に学びたかったからだ。今から思えば法学部を志望する動機としては非常に甘いものだったけどね。

 改憲論がかつてないほど高まりを見せている昨今、改憲論者が念頭においているのはいつも9条だね。1条から象徴天皇を削除し国民主権を明確にするなんていう主張の改憲論者にはほとんどお目にかかったことがない。あろうことか一部の与党の政治家には、天皇の国家元首化の主張まで見られるようになってきた。ほんと危険な兆候だね。

 憲法記念日を前に、中学生相手に公民分野の憲法講義。ゴールデンウィークの休日のひとつがどういう日であるかということにはじまり、現在の憲法とその制定過程、あわせて基本原則の概念を簡単に説明。こう書くとその手の人々には小難しいイデオロギー教育でもやってるのかと言われそうだが、なんのことはない学習指導要領に沿った普通の授業である。
 だが生徒に憲法の平和主義の条項を紹介するとき、自衛隊や安保条約など現実との乖離を説明するのに苦しまされるよホント。

 もちろん俺は中学や高校の教師じゃないので、自分の信条に関する発言は自由にやらせてもらっている。一般の教職でなく、いわゆる受験産業にかかわっている俺のような者のある意味で強みだろう。

 誤解を避けるために言っておくが、べつに受験に名を借りて反権力の教育をやっているわけじゃない。もちろん違憲論も合憲論も紹介するし、判断に必要な客観資料も提供しているつもりだ。ただし、単純に両論を並べて相対主義を示すことはよくないと思っている。「俺はこの立場に立つ」というスタンスは相手が大人だろうが生徒だろうが明確に示してもよいはずだ。そしてさらに「君はどう思うのか」と問うてみたい。

 とはいえ、俺の意見に無批判に追従してくる受け身なよい子ちゃんにはこんなことを言ってからかってしまう。

  "Don't Trust Anyone Over 30...."(もちろん冗談ですってば)

 結果として俺と違う思考をもっている生徒になったとしても、批判的思考のできる生徒を幾人か育てられたら講師冥利に尽きるというものだ。塾や予備校講師なら、ただ志望校に合格するように受験指導だけすればよいではないかといわれるかも知れないが、じつは経験的にも、洞察力を持った生徒をつくることが実際志望校に合格させることへの近道だったりする。未来への洞察力に満ちた人間は自分やこの国のあるべき未来の姿も見通せるものだ。


P.S. "The School Of Rock"見たいなあ。

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コメント

Rough Toneさん、初めまして。akaneと申します。
トラバありがとうございます。

実は最近何度もこちらのブログに足を運んでおりました。色々と共感を覚える部分が多いです。愛国心という言葉にはやや抵抗がありますが、私も日本という国が好きです。でも、やっぱり今の政府は好きになれそうにありません。イラクに自衛隊派遣するわ、第九条の改憲に流れていくわ、危険すぎます。

それにしてもRough Toneさんは、すごい知識量ですね「神々の名のもとに」は特に興味深く拝見させていただきました。さすが社会科講師ですね。勉強になります。

では、また~♪

投稿: akane | 2004.05.11 01:38

akaneさん、コメントありがとうございます。

 akaneさんをはじめ、戦争や悪しき改憲に反対を表明されるblog仲間がネット上に大勢いらっしゃるので、私も大変勇気づけられています。

 脳組織の基幹的な部分は爬虫類の脳とおなじだそうです。利己的な行動や、儀式欲、権力に盲従する愚かさ、恐怖や怒りに支配されて行う残虐な行為は、人間の所業というより、より下等な動物の反応らしいのです。つまり、戦争のときの人間は、理性のかけらもないトカゲかヘビみたいになってしまうということですね。これは大変恐ろしいことです。

投稿: Rough Tone | 2004.05.11 06:15

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