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2004.06.19

センス・オブ・ワンダー

 それは、あの足元が危うくなるほどの衝撃をいうのだろう。中学生のとき、アーサー・C・クラークの「2001年宇宙の旅」を読み、脳天を思い切りどつかれるような衝撃を受け、SFに興味をもつようになったころのこと。

 数百万年前の人類の祖先は、不思議な石版に触れはっきりと進化の道筋を進み始める。道具(あるいは武器?)をうまく使うことを知り、人類は生き延びることができるようになった。しかし、その進化は、「地球外からの刺激」がもたらしたものだというのだ。
 当時の俺は、「2001年宇宙の旅」というクーブリックの映画に触れるより先に、クラークの小説を読んでしまったわけだ。映画にもある冒頭のシークェンスについて、人類の進化が、神のごとく超文明らしきものの導きで起こったという解釈はしなかったが、キリスト教を信じる人々のいくらかは、あれこそ神の導きをあらわしているといい、キリスト教と進化論との折り合いをつける話であるとみる向きもある。

 まあ、クラークの小説とクーブリックの映画はまた別物であり、それぞれの作者の世界観が反映していると思うが、俺はむしろ、クーブリックがその有名な冒頭部をその映画のテーマに用いたリヒャルト・シュトラウスの交響詩「ツァラトゥストラかく語りき」のごとく、「もはや神は死んだ」といい、「猿から人へ、人から超人へ」といったニーチェの思想をみておきたい。もっとも、唯物論に立つ俺は、人類がいくら「超人への意思」をもっていたところで、そちらに順調に進化するかどうかはまったくわからないと思うが。

 しかし同じ小説や映画を見ても、人によってまったく違う結論が出るのだから、「2001年」は小説も映画もほんと面白い物語だと思う。

 小説のほうは、クラークによって「2010年宇宙の旅」「2061年宇宙の旅」「3001年終局への旅」と書き続けられ、クラークのイマジネーションの一種の極限を見ることができる。

 クラークはまだ元気でいてくれているだろうか。

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コメント

お元気ですか???
ず〜〜〜と、おからだ心配をしていました。
今、梅雨時で、蒸し蒸ししています。
私も頭クラクラ ボッ〜〜〜としているのですよ。
さて、アーサー・C・クラークの記事、楽しく拝見をしました。
私はハードSFはあまり読んでないので、クラークは本棚の奥深く眠っていますが、チョット、読んでみようかな???
アシモフや、ディック、ホーガンあたりはバッチリ読みました。
Rough Toneさんは如何ですか??
では、また遊びに参りますね。

投稿: せとともこ | 2004.06.19 12:56

>>アシモフや、ディック、ホーガンあたりはバッチリ読みました。

 高校の頃は私もディックにはまってましたね。高2の夏休み、昼下がりに「高い城の男」を読みながら眠りこけ、奇妙な白日夢をみた思い出があります。彼の作品は後半支離滅裂になるのがなぜだか心地よかったのです。

 また、ホーガンは「創世記機械」「ガニメデの優しい巨人」なんかを読みました。

 本屋さんに行くとハヤカワや創元やサンリオSF文庫(!)のあるところに直行していたころを思い出します。

投稿: Rough tone | 2004.06.20 04:32

Rrough Toneさん、おはようございます、

勝手トラックバックお許しください。ちょっと前に私にも似た「感じ」があって、自分なりに文章にしてみたものです。読みにくい、という評判の記事なので...お恥ずかしいのですが。

私もずいぶん長い間、幸せなSF読みでした。いまも「知性化戦争」シリーズとか、「ハイペリオン」とか、あさっています。

最近、フランシス・フクヤマの「歴史の終わり」を読みました。かなり、いけてます。はじめてニーチェの思想の一端が理解できました。どうも、政治学的な文脈でしかこの本は日本で評価されていないような気がしますが、実はイデオロギーの修整を思想的な根源から迫る書であったように感じております。マルクスが意図的にヘーゲルを誤読したとか、ニーチェが「ツァラトウストラ」などで表現したかった政治哲学的な意味など、非常に確かな筆力でかかれています。

ちなみに、→の「興味深いBLOG」のリスト、かなり私にとっても「興味深い」です。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: ひでき | 2004.06.20 06:59

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