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2005.06.02

大滝詠一「ロング・ヴァケイション」

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 このアルバムは、ある世代にとってはあまりに定番だし、アルバムや楽曲そのものについてはすでに語り尽くされているだろう。だからここでは、個人的な感慨について書かせてもらう。

 俺がこのアルバムをはじめて聞いたのは、中学2年生の夏休みだった。だからこのアルバムを通して語られる、明るいビーチや彼女との愛車でのドライブなどの、青春映画のワンシーンのような経験など、まだ体験できる筈もなかった。当時の友人たちと同じように、俺もまたこれらの楽曲に描かれているような、甘酸っぱくさわやかな恋をしてみたいとただ憧れていた。

 しかし俺が実際に高校に入ったころは、音楽の好みもかわり、洋楽ばかり聴いていた。もう記憶もあいまいなのだが、高校生になってからは、あれほど好きだった「ロング・ヴァケイション」を聴くこともほとんどなくなったのではないだろうか。ただ、誰にでも一度はある、ひどくアツくなってしまう恋の時代は、なんだか子どもっぽかった中学生時代にではなく、もう少しおくれて、まさにこの頃やってきた。

 もっとも、高校時代や大学時代の実際の恋愛模様は、さまざまな障害や紆余曲折もあったから、あのアルバムの世界のような明るいものでは決してなかったけれどもね。

 高校時代や大学時代を遠く過ぎた今になって、夏が近づくとなぜかこのアルバムが聴きたくなる。実際は数えるほどしかなかったはずの、夏の日差しの下での楽しい思い出が、鮮やかに蘇って、おもいっきり美化され、ひどく懐かしく感じられる。過ぎ去った時間はまるでバラ色だったかのよう。俺も歳をとったなあと感じる瞬間だ。

 愛読させてもらっている「ロック世代のポピュラー音楽史」「英雄列伝 大滝詠一」の項にこんな言葉があった。

「時代が変わり、21世紀初頭の不況のどん底になっても、「ロング・ヴァケイション」を聴くたびに、あの時代の記憶は見事に甦ってきます。それは、やはり音楽のもつ不思議な力なのでしょう。なんだか自分が未だにロング・ヴァケイションの続きを楽しんでいるような気分にさせてくれる音楽、そんな音楽も人間には必要です。」

 ね、開き直ってもいいよね。


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コメント

いやぁ~懐かしいなぁ。

作詞が松本隆ですよね。
大好きなんですよ。
素敵な情景が手に取るように浮かぶんです。

海には必ず持って出かけましたよ。
彼女もいないのに、一人でリゾート気分を味わっていました。

いまは思い描いたことが現実となって、素敵なリゾートを愉しんでいます。

投稿: mossarin | 2005.06.08 14:49

お久しぶりです。お元気そうですね。

>>いまは思い描いたことが現実となって、素敵なリゾート
>>を愉しんでいます。

うらやましい限りです。
大滝詠一の別のアルバムに入っていた曲の歌詞にもあったように、あのころのように時間が無限にあったらよいのですけれども・・・。

 「アメリカン・グラフィティ」という映画がありましたが、これも初めて見たときは高校生でした。60年代のアメリカの学生生活は楽しげでうらやましく思いましたが、
 本当に胸が焦がれたのは30歳を過ぎてからのことでした。ラストの、主人公たちの消息が文字で説明されるところは特に。

 このアルバムもまさに同じ感覚で、デジタルリマスタリングの再発盤を思わず買ってきてしまいました。

投稿: Rough Tone | 2005.06.10 23:44

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