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2005.07.15

君死にたまふことなかれ

ねえ、ジョニー
あなたを 思うと 泣きたくなるわ
死なないで ジョニー
末っ子の あなたは
父さん 母さんに 愛されて
それは それは うらやましかった
でも 父さんは いわなかったわ
ひとを殺して、死ねだなんて
19歳まで 大切に
あなたを 育てた 母さんは
そんなこと けっして 教えなかったわ

ブルックリンの ふるい雑貨屋
あなたは その あとつぎ息子
おじいさんの名前を 受け継ぐ あなた
ぜったい 死なないで いてほしい
イラクが テロリストの手に 落ちたって
いえ落ちなくたって、どうでも いいわ
あなたより 大切なものは ほかにない

あなたは ぜったい 死なないで
あのひとは 戦いに 出て行かない
兵に 血を 流させて
イラクの砂漠で 死ねなんて
なぜ 戦いに いくひとを
あのひとは いつも胸張って 見おくるの
あのひとに やさしさが かけらでもあれば
何かを 感じられるでしょうに

ねえ ジョニー
砂漠なんかで 死なないで
戦闘の ニュースをきくと 父さんは
窓の外見て ためいきつくわ
そして かわいそうな 母さんも
なにかにつけて 泣いている
世界にひとりの あなたを失って
アメリカの 自由に何の 意味がある
母さんの額に 深いしわ

たったひとりで 泣いている
あなたの かわいい フェリシティ
あなたは 忘れて しまったの
半年も 一緒に いられなかった
いちずな 心を 思いやって
この世に あなたは たったひとり
いったい 誰が かわりになるの
ジョニー ぜったい 死なないで

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コメント

素材がいいので、思わず改修してしまいました。
勝手なことして、すいません。

ご自身の詩作ですか?

--------
ねえ ジョニー
あなたを 思うと 涙がでるの
死なないで
あなたは 末っ子

ブルックリンの ふるい雑貨屋
あなたは いまや あとつぎ息子
おじいさんの名を 受け継ぐ
あなた

19歳まで 大切に
あなたを 育てた 父さんも
母さんも あなたを愛してた
「ひとを殺せ」とは教えなかった

ねえ ジョニー
あなたは 世界に たったひとり
戦いに 出て行かない あのひとは
戦いに いくひとを 胸張って 見おくるだけ

ニュースをきくたび 父さんは
窓のそと 見て 深い ためいき
母さんの額に 深い しわ
なにかにつけて 泣いている

あなたの かわいい フェリシティ
半年も 一緒に 居れなかった
いちずな 心を 思いやって
いったい 誰が かわりになるの

ねえ ジョニー
こんな気持ち よそでは言えないわ
なぜ こんなことになってしまったの
どうか死なないで

祈るほかに すべのない
わたしを ゆるして
ああ 神よ
どうか

投稿: Cab Calloway | 2005.07.16 03:43

与謝野晶子の「君死にたまふことなかれ」ですね。ちょうど日露戦争100年で、靖国神社の遊就館では連日軍歌が流れています。与謝野晶子は戦争に反対したのではなくて、伝統ある商家の家柄の継承を心配したのだと、中の展示では説明してありました。ではなぜ、天皇は戦場に自ら立つことはないという一節が入っているのか。この詩の発表後に、「女がお国のことに口を出すとは」と非難されて、「女子供てふ者もとよりいくさ嫌いにて候」と反論したことをどう考えるのか、そのことには触れられていませんでした。
とてもよくできたパロディーだと思います。感心しました。

投稿: lonehermit | 2005.07.16 18:38

>Cab Callowayさん

ありがとうございます。
残念ながら私のオリジナルではありません。
lonehermitさんのおっしゃるように
近代女性のさきがけとしても有名な女流詩人に
リスペクトしたものです。
すてきな改修ありがとうございます
私のたからものにします。

Cab Callowayさんの改修点ではとくに
「祈るほかに すべのないわたしを ゆるして / ああ 神よ どうか」というところは、とくにすばらしいと思いました。

> lonehermitさん

 戦争で死に行く兵士の家族の立場で考えてみたかったので、唐突にこのエントリを思いつきました。
 与謝野晶子は敬愛しています。彼女がかつて立った社会的な立場も、彼女の文芸表現も。

>「女子供てふ者もとよりいくさ嫌いにて候」と反論した

 アリストファネスの昔から、戦の原因をつくるのも男、戦いをはじめるのも、戦功を誇るのも男でした。
 こんなふうに書くと「武韋の禍」なんかをひきあいに出されて反論されそうですが、もっと根源的に考えると

「いのちを生み出す女性はいのちの尊さを知っている」

という言葉を思い出します。戦争に反対するのに男女の別はないと思うのですが、女性の持つ偉大なる「母性」には敬意を払おうと思っています。

投稿: Rough Tone | 2005.07.18 10:10

ご親切に、感謝します。
与謝野晶子の歌をヒントにしたろうことは、わかりました。

ご自身の翻案でしょうか?
と、うかがったつもりが、誤解をさせてしまいました。
ネットは難しいですね。

オリジナル以上の魅力が、
現代に蘇って来るのを感じて、
そのセンスに、グッときています。

みごとな温故知新の体現ではないでしょうか。

こういう皮肉すぎず、
衒いもないパロディ精神は
見ていて、とても気持ちがいいです。

そんな歌を「改修」とは、
不遜な言い方でした。ごめんなさい。

あくまで政治運動とは無縁の
習慣としてキリスト教を信じる
マジョリティとしてのアメリカ人女性を想定して、
あえて「神よ(Oh, God!)」という言葉を使ってみたくなりました。
どこにでもありそうなリアリティが欲しかったんです。

神がいるか、いないかの話は置いて
宗教は宗教として、戦争は戦争として
一市民としては、神に祈るしかない哀感を
詩風を借りて、表現してみたくなったのです。

送信したあと、怒られやしないかとドキドキして
後悔してたんです。

たからものにしていただきまして、
いまは、ウキウキしてます。

投稿: Cab Calloway | 2005.07.18 23:18

<世界にひとりの あなたを失って
アメリカの 自由に何の 意味がある
母さんの額に 深いしわ


ブログにコメントありがとうございます。
あまりにも人命が軽視されるこのごろですね。

投稿: kouhei | 2005.07.20 01:43

あぁ、いい詩ですね。
昔見た「ポケモン」の一場面を思い出しました。

サトシ(主人公)の母
「あなたはなんで、こんな危ないことしたの!?」
サトシ
「母さん、でも世界を救うためだったんだよ」
サトシの母
「世界を救うのがそんなに大事なことなの? あなたが死んでしまったら、あなたの世界は終わりなのよ」

大局観がない、視野が狭い、だから女は・・・。
と、昔から続く男社会では揶揄されそうな、こういう地に足のついた考え方が、最終的には世界を救うことになるのかな、と思ったりしています。

投稿: gegenga | 2005.07.21 11:00

>kouheiさん

こんにちは

 もうすぐ8月で、日本人が一番平和について考える月がやってきますが、身近な人が戦争にいって命を落とすということはどういうことなのか、多くの人にもういちど考えてみてもらいたいものですね。


>gegengaさん

こんにちは

>>あなたが死んでしまったら、あなたの世界は終わりなのよ

このことばはある意味まさに真実ですね。
昔、このブログのある記事に対するコメントで、「人間って『死ぬ』とどうなると思われますか?」と質問を受けたことがありました。私はこのようにお答えしました。

「私は、幼い頃に父を失ったときから、人間は死んだら、意識という名の物理的な反応を終え、だだの土くれになるのだと思ってきました。意識も霊魂もなく、存在を失うのだと。壊れた機械がその能力を失うように。
でも、身近な人、その人のことをよく知っている人の死はもちろん、幼い子供や罪もない人々の死には激しく心が痛みます。胸が張り裂けそうになります。その人が生涯で為すべきこと、あるいは成し遂げたかったことを為なさないうちは決して死んじゃいけないとも思っています。」

投稿: Rough Tone | 2005.07.21 15:12

はじめまして。uzumaky#9と申します。

『君死にたまふことなかれ』のリメイキング、とても興味深く拝読しました。
読ませて頂きながら、頭の中で、映画『ジョニーは戦場へ行った』の幾つかのシーンが浮かんで、BGMにピーター、ポール&マリーの“Gone The Rainbow”が流れてくるような状景を想起しました。「ジョニー」と置き換えたのはとても含蓄のあるアイデアに思われました。

旅順が陥落しようが、イラクがテロリストの手に落ちようが、そんな大義を超える価値がある、ということを断じてしまうことって、ファナティシズムの喧騒の中ではとても勇気の必要な認識ですよね。。。

拝読していて心に染み渡りました。。。。

投稿: uzumaky#9 | 2005.08.05 00:32

こんにちはuzumaky#9さん

 戦争というものを、政治的にはもちろん、倫理的にも情緒的にも拒否したいという思いから、このエントリを書きました。内村鑑三のキリスト教的非戦論でもなく、平民社の社会主義的反戦論でもない、家族を思うひとりの女性である与謝野晶子が、情緒的に戦争への拒絶をのべたこの文は、現代においても強力なメッセージたりえると思ったのです。

 ご推察どおり「ジョニーは戦場へ行った」を意識したのは確かです。戦争は、いちど始まってしまったら、愛する人をただの肉塊に変えてしまうかもしれない。

 更新停止は残念ですけれども。uzumaky#9さんのブログのエントリには何度もひきつけられました。いまもブログのサイドバーのリストに載せさせてもらっております。

投稿: Rough Tone | 2005.08.05 13:28

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