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2006.12.18

アラビアのロレンス

 アジア大会も終わった。カタールのドーハで開かれたアジア大会の開会式を見ていて、やけにこの映画を見たくなった。この週末、安倍復古政権によって教育基本法が改悪されてしまった最悪の週末をなんとか乗り切るために、この古い映画を見てみようと思い立って、DVDを買ってきた。

 アラブの砂漠に身を投じたT.E.ロレンスを描いた伝記映画。舞台は第一次世界大戦当時の帝国主義列強の思惑が渦巻くアラビア。当時のアラビアはオスマン帝国の占領下だったが、イギリスはトルコからの独立を望むアラブ人を味方につけ、トルコ領の帝国主義的分割に利用にしようとしていた。映画の中にも、イラク、パレスチナ、ヨルダンをイギリスが、レバノンを含むシリアをフランスが分割した悪名高きサイクス=ピコ協定の名が登場する。一方でイギリスはアラブ人とフサイン=マクマホン協定を結び独立の支持を約束、ユダヤ人とはバルフォア宣言を結びシオニスムに支持を与える。現代の中東問題の悪しき根源ともなった有名な「イギリスの三枚舌」の一端である。
 歴史的事実は置いておいても、ピーター・オトゥールが陰影深く演じたロレンスと、アラブ系俳優オマー・シャリフ演じるアラブのハリド族の長アリの描写がまた素晴らしい。反抗的で時間にルーズだが芸術と文学を愛した軍人だったというロレンス。粗暴なアラブの男という印象だったが、ローレンスに接して政治を学ぶようになったアリ。男と男の対立とその後の友情が美しい。
 映画は、ロレンスの理想と戦い、そして苦悩が描かれる。この物語はおよそ90年も前の話だが、現代の中東はさらに混迷を深めており、そして現実にはロレンスのような人間はいない。ロレンスも、おそらく映画とは異なる実像をもった人物だったのかもしれない。しかし、俺はこの映画を敬愛してやまない。

 この映画はアラブ、しかも戦争がテーマとあってか、女性がまったくといっていいほど登場しない。当時のハリウッド映画としては、戦争映画とはいえ、ロマンスシーンがないのは珍しいのではないのだろうか。2枚組のDVDは、40年以上の歳月を越えて美しい映像を見せてくれる。特典映像のメイキングも充実している。

 かつてテレビではじめて見たとき、冒頭でオートバイを整備するシーンにやられた(その後事故死するさまと、彼の葬儀のシーンを描いてこの物語ははじまる)。自分自身大学生のときは、朝早く起きてオートバイを整備し、郊外に走りに出かけるのが大好きだったからだ。

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